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2020年5月31日 (日)

減速局面

今日は、減速局面について考えます。

 走競技は、同じ動きの繰り返しによって成り立っています。そのため、動作の反復や持続性が求められます。よって、技術・体力両面において等速局面の走りをフィニッシュまで維持し続けることが大切です。

 疲れによって無駄な力が入り、走りを乱したり後傾姿勢になったりしないよう、軸や接地のタイミングを考えて、ていねいに走り抜きたいものです。

 トレーニング方法としては、テンポ走・インターバル走・レペティション走・ウェーブ走・持続走の他、筋持久力トレーニングなどがあげられます。体力的にも精神的にもかなりきつい練習になりますが、このような練習をこなすことで自信がついていくものです。小学生には、怪我や故障にもつながるので私はあまり行いませんが、中学生からはこのような練習も必要となってきます。

 緊急事態宣言も解除され、練習再開も間近です。競技会開催の計画も進んでいるようです。新たな目標を持って、頑張っていきましょう。

2020年5月27日 (水)

等速局面

今日は、等速局面について考えてみましょう。

 前回の自転車のたとえでいうと、最高スピードに乗ったところでペダルをこぐのをやめ、慣性の法則に則って気持ちよく進める区間です。ゾーンに入る瞬間というか、一番気持ちよく走れている瞬間になります。

 技術面では、抵抗(ブレーキ)を最小限に保つ技術が必要になります。抵抗を最小限にするためには、

①体軸のぶれ(上下左右)をなくすこと。

 振動や揺れの多い普通電車と振動や揺れの少ない新幹線の乗り心地を比べるとよくわかると思います。

②接地時の抵抗を少なくすること。

理想をいうと、飛行機のように空を飛んでいるような感覚と言えるでしょうか。

 練習やトレーニングの方法としては、アジリティトレーニングやオーバースピードトレーニングがあります。素早い動きを作り出すトレーニングや、下り坂や牽引の力を利用して、普段より速いスピードの中で走るトレーニングです。このトレーニングを効果的に行うためには、体幹を鍛える他、理想のランニングフォームを追求するため細かい部分まで感覚を研ぎ澄まして練習することが大切です。骨盤と肩甲骨をつなぐ軸、股関節と肩関節の動き、インナーマッスルを使った脚の回転、末端のリラックス、接地感覚など、1本1本、全神経を研ぎ澄ました高度なトレーニングが必要です。

なぜならば、最高スピードの中でしか養えない感覚だからです。1回の練習の中で、最高スピードで行える練習は限られています。必ず課題をもって意識した練習を心がけましょう。

また、一流選手の発信している「イメージ」「ポイント」などを参考にしてみるのもよい方法です。

2020年5月16日 (土)

加速局面

今日は、加速局面の技術練習やトレーニングについて考えます。

 この局面が100m走では、最も難しく重要な局面と言えるでしょうか。(もちろん、すべての局面重要なのですが。)なぜならば、加速の(トープスピードに達するまでの)流れの中で、フォームが大きく変化していくからです。

 よく、自動車のギアチェンジに例えられますが、小学生には難しいと思うので、チャリンコに置き換えて説明します。5段ギアの自転車に乗ったことを想像してみてください。自転車をこぎ出す時には5段のギアより2~3段のギア(上り坂なら1段ギア)に入れたほうが楽にスタートできますね。 しかし、スピードが上がるに従って、4~5段にギアチェンジをしていかなければスピードは上がって行きません。

 それはなぜでしょう。ギアの仕組みによるのですが、簡単に説明すると1段ギアでは、1こぎで車輪を1回転させる。2段ギアでは1こぎで2回転~5段ギアは1こぎで5回転する仕組みになっていると考えるとわかりやすいと思います。

 このギアの仕組みがフォームであり、ギアチェンジはフォームの切り替え(加速局面の技術)ということになります。

 それでは、加速局面の技術をどのようにとらえてトレーニングして行ったら良いのでしょう?ポイントを3つに分けて考えます。

一つ目のポイント:重心をスムーズに移動しながら加速していくために、軸を意識して走る。

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 重心の位置は姿勢によって変わります。前傾角度が大きい姿勢から徐々に体を起こしていく中でも、体軸が重心を通った自然な動きを維持し続けられる技術を身に付ける。

 トレーニング方法は、各種体幹トレーニング・倒れ込みからの自然な加速走、ジグザグ走、下り坂走など

二つ目のポイント:タイミングよく足を接地して地面からの反発をもらいながら加速していく。

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 母指球を意識した接地や腱反射を使ってスピードを上げていく接地感覚を大切にする。スピードが上がっていくに従って、接地時間は短くなり、地面に加える力の方向は後方から下方に、力の大きさは小さくなっていくような、パワーロスのない接地技術を身に付ける。

 トレーニング方法は、スキッピング各種・マーカーやミニハードル・フレキシブルハードルなどを利用した走練習など

三つ目のポイント:上半身と下半身を連動させて、足をスムーズに回転させていく。

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 ギアチェンジをスムーズにするイメージで、動きの中で意識や感覚の切り替えを行いながら推進力を生み出していく。そして、究極のピッチとストライドで足を回転させていく技術を身に付ける。

 トレーニング方法は、コーディネーションドリル・ウエーブ走・ポイント切り替え走・牽引によるオーバースピード走など

(写真は、ボルト・桐生・小池・山縣ほかウエブページより)

2020年5月 9日 (土)

スタート局面

今日は、スタート局面の技術練習やトレーニングについて、考えます。

スタート局面は、レースの距離が短ければ短いほど重要になってきます。100mのレースでは、スタート局面でバランスを崩したり、体が早く立ってしまったりすると、スムーズに加速していけないばかりか、精神的にも焦りや余計な緊張につながってレース自体を壊してしまいます。

まずは重心移動、足の運びを意識して、スムーズな加速につながるように心がける中で、自分にあった形を見つけるよう練習していってください。また、体型や体力の変化によっても常に変わってくるものなので、スターティングブロックの設置位置や角度など、ひとつの形に固執せず、コーチのアドバイス等をもらいながら、日頃から意識して自分の感覚を磨いていくようにしましょう。

「オンユァマークス」~「セット」の姿勢も、関節や筋肉に余計1_2

な負担がかからないようリラックスして号砲が待てるフォームを身につけましょう。背筋はまっすぐ軸を意識し、「セット」時、前足のスネの角度は、飛び出す際の前傾角度になっているとよいでしょう。いろんな選手のスタートフォームを見て参考にしてみてください。

トレーニング方法は、

メディシンボールを前方に全身を使って投げる練習や、垂直跳び・立ち五段跳びなどの跳躍練習、階段ダッシュや坂道ダッシュ、いろんな姿勢からの変形ダッシュなどのダッシュ練習、シザースステップや腕を高く振り上げるスキップなどがありますが、実際のクラウPhoto_3チングスタートを意識して、強いパワーで重心を前方へ移動させるためのいろいろなトレーニング方法を自分で工夫して、試してみることが『全面性の原則』からも大切です。

『探求・挑戦・継続』で頑張っていきましょう。

(写真は、山縣亮太・多田修平選手)

2020年5月 7日 (木)

レースを組み立てる=4つの局面に分けてトレーニングする

走競技のレースは4つの局面に分けて考えるのが、現在の主流の考え方です。

短距離走であれば、①スタート局面②加速局面③等速局面(最高スピード局面)④減速局面(スピード維持局面)の4つ。

①スタート局面は、静止している体を前方へ、勢いよく飛び出し、2歩目、3歩目と加速していく大きな力が必要です。

②加速局面は、重心をスムーズに移動しながら加速していくために、タイミングよく足を接地して地面からの反発をもらいながら、足をスムーズに回転させていくことが必要です。

③等速局面は、リラックスしながらトップスピードを持続することが必要です。この時のフォーム作りはとても大切です。理想のフォームでこの局面を走り抜けたいものです。

④減速局面は、勝負に関わる局面ですので心理的にも体力的にも強い力が必要です。レース全体のペース配分や体幹の強さ、リラックスしてフォームを維持することなど、減速局面をいかに減速せずにフィニッシュラインを通過できるかが課題です。

中長距離走であれば、③等速局面はペースの維持局面であり、④減速局面を無くし、勝負どころでの②加速局面をどう組み立てるかがレースの組立てで大切になってきます。

①②の局面は、スタンディングポジションからいかにスムーズな重心移動で良いポジションに付け等速局面(自分のペース)に乗せられるかが大切です。

③等速局面は、レースの距離をスパートの力を残して走りきれるスピード感覚を養うこととそのスピードを維持・向上させるトレーニングが必要です。省エネで速いスピードが出せるフォームを身につけるのが理想です。

2020年5月 1日 (金)

未来を信じよう~目標を見失わず、新たな目標に向かって~

 インターハイ・全中・日清カップの開催中止が決まり、全国制覇を目標にしてきた多くの若いアスリートが、目標達成の機会をコロナに奪われることとなってしまいました。

 我々指導者も、育ち盛りの子供たちが目標を見失い、成長の機会をも奪われてしまわないか、とても心配になります。どうか長い未来を見据え、新たな目標を持って努力精進していってもらえるよう願うかぎりです。

 9月新学期ということになれば、インターハイ・全中・日清カップの開催も来春開催ということにもなってくるかもしれません。決してあきらめることなく今できることをしっかりやり続けましょう。